【C言語】
奇妙な足し算
-順番を変えると結果も変わる?-

■この記事の概要

この記事では、C言語で発生する計算結果の不一致について解説しています。具体例として、0xFFFFffff + 1の桁あふれや、浮動小数点計算の順序により異なる結果が生じるケースを取り上げています。また、接尾子Lを活用することで桁あふれを回避する方法を詳述し、安全な数値操作を推奨しています。


■16進数と10進数で足し算の結果が変わる

注:LP64-gcc環境とします。

#include <stdio.h>
int main(void){
    printf("%lx\n",0xFFFFffff+1);
    printf("%lx\n",4294967295+1);
}

●筆者も間違えた実行結果は?こちら


■C言語での桁あふれ対策に接尾子Lを使う

//C言語での桁あふれ対策に接尾子Lを使う
#include <stdint.h>
#include <limits.h>
#include <stdio.h>
int main(void){
    uint32_t     x = UINT_MAX ;
    uint64_t     y = x + 2 ;
    uint64_t     z = x + 2L ;
    
    printf("y = %lx\n",y);
    printf("z = %lx\n",z);
}

このプログラムは以下のように表示されます

$ ./a.out
1
100000001

y = x + 2 ;と記述すると右辺をint型で計算するため桁あふれします。

y = x + 2L ;と記述すると右辺をlong型で計算するため桁あふれしません。


■浮動小数点は順番によって足し算結果が変わる

#include <float.h>
#include <stdio.h>

int main(void) 
{
    long double  ゴジラ = FLT_MAX;  // 巨大
    long double  人間   = 1.0L;     // 比較的小さな数
    long double  コング = -FLT_MAX; // 巨大

    long double  人間踏まれる = ゴジラ + 人間 + コング ;

    long double  人間生きてる = ゴジラ + コング + 人間 ;

    printf("人間踏まれる = %.20Lf\n", 人間踏まれる);
    printf("人間生きてる = %.20Lf\n", 人間生きてる);
}

このプログラムは以下のように表示されます

./a.out 
人間踏まれる = 0.00000000000000000000
人間生きてる = 1.00000000000000000000

この例を簡単に例えると、
人間踏まれるの計算では
ゴジラ対人間は、人間が踏まれて誤差に丸め込まれます。
人間生きてるの計算では
ゴジラ対コングは0になり、後から人間を足すので1.0が残ります。


参考:

DCL16-C. long 値を表すには小文字の “l” ではなく大文字の “L” を使う